注文住宅の予算を考えるとき、総額と同じくらい大切なのが「いつ、いくら払うか」です。住宅ローンの融資は家が完成して引き渡されるときに実行されることが多く、それまでの支払いは、自己資金や別の方法で用意する必要があるからです。
この記事では、支払いのタイミングの一般的な流れと、前もって確認しておきたいことをまとめます。
結論:支払いは「5回」に分かれることが多い
アットホームの解説では、注文住宅で資金が必要になる時期を、次の流れで紹介しています。
| 時期 | 内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 土地の購入時 | 土地代の支払い | まとまった資金が必要 |
| 建築請負契約時 | 契約金 | 建築費の5〜10%程度(自己資金で支払う) |
| 着工時 | 着工金(着手金) | 建築費の3分の1程度 |
| 上棟時 | 中間金 | 建築費の3分の1程度 |
| 引き渡し時 | 残りの建築費 | 建築費の3分の1程度 |
この割合は一般的な目安で、会社によって異なります。契約書の「支払い条件」を必ず確認してください。
タイミングごとのポイント
土地の購入時
土地を買って建てる場合、最初にまとまった資金が必要です。すでに土地がある人は、この段階は不要です。
建築請負契約時(契約金)
契約金は自己資金で払う必要があります。つまり、ローンで借りる前に、現金を用意しておく必要があります。契約前に、手元の資金がいくら必要かを計算しておきましょう。
着工時と上棟時
着工金と中間金は、通常、家が完成する前に払います。このため、住宅ローンの実行が引き渡し時だけだと、手元の資金だけでは足りなくなることがあります。
足りないときの方法
完成前の支払いのために、次のような方法があります。
- 分割融資:住宅ローンを複数回に分けて借りる方式です。すべての金融機関で使えるわけではなく、条件も異なります
- つなぎ融資:住宅ローンとは別の、短期のローンです
それぞれの違いと注意点は、つなぎ融資と分割融資の違いで詳しく書いています。
融資のお金が入る時期を、公的な資料で確認する
【フラット35】の「融資手続・必要書類」では、注文住宅(建設)の流れが次のように示されています。
- 工事の途中で、検査機関に中間現場検査を申請する
- 竣工後に、竣工現場検査を申請し、合格すると適合証明書が交付される
- 適合証明書を取扱金融機関に提出し、借入れの契約を行ったうえで、資金を受け取る
つまり【フラット35】では、資金を受け取るのは、竣工現場検査に合格し、適合証明書を提出した後の流れになります。また、住宅金融支援機構の資料では、借入金利が確定するのは申込時ではなく資金の受取時とされています。
同じ資料では、つなぎ融資を「住宅の工事代金の一部精算などのために、住宅ローン資金の受取前に金融機関が提供するローンのこと」と説明し、金融機関を選ぶときに、つなぎ融資に対応しているかを確認するポイントとして挙げています。
ただし、民間金融機関のローンは、資金の受取時期や分割実行の可否が異なります。「いつ、いくら入るのか」は、必ず検討中の金融機関に確認してください。
諸費用も忘れずに
建築費とは別に、諸費用も必要です。三菱UFJ銀行は、住宅購入時の諸費用の目安を、新築物件で物件価格の3〜6%としています(2026年6月10日更新)。
ここでの「新築物件」は、不動産会社から買う新築を指します。土地を買って注文住宅を建てる場合は、費用の種類や幅が異なることがあります。注文住宅の諸費用は、土地や建物の条件、借入先によって大きく変わるため、公的な目安は示しません。項目の洗い出し方は見積もりに入っていない費用とは?を参考に、住宅会社と金融機関に見積もりをもらって確認してください。
ローンを使うときの諸費用と、支払う時期
住宅金融支援機構の資料では、住宅ローンを使うときの主な諸費用と、支払う時期が次のように整理されています。
| 費用 | 支払う時期 |
|---|---|
| 印紙税 | 住宅ローン契約を結ぶとき |
| 融資手数料・住宅ローン保証料 | 資金を受け取るとき |
| 火災保険料・地震保険料 | 保険契約を結ぶとき |
| 抵当権設定登記の登録免許税 | 登記を申請するとき |
| 抵当権設定の司法書士報酬 | 登記を依頼するとき |
| 物件検査手数料 | 検査を申請するとき |
このほか、不動産取得税、不動産仲介手数料、引っ越し代などが必要になるとされています。諸費用の一部は【フラット35】の借入対象になる場合がありますが、確認書類の提出が必要です。対象かどうかは、金融機関に確認してください。
建築請負契約書の印紙税
建築工事の請負契約書には、印紙税がかかります。国税庁の案内では、建設工事の請負契約書のうち、契約金額が100万円を超えるものには軽減措置があり、2027年3月31日までに作成される契約書が対象です。軽減後の税額は、たとえば次のとおりです。
| 契約金額 | 税額(軽減後) |
|---|---|
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 3万円 |
契約金額の区分によって税額が異なります。電子契約の場合の扱いなどは、国税庁の案内や住宅会社に確認してください。
こういう人は、こう考える:ケース別の確認点
土地をこれから買う人
土地代の支払いが先に必要になります。土地の購入から建築までの資金をどうつなぐかは、金融機関によって対応が異なるため、土地を決める前に、土地の購入資金と建築資金を、どのタイミングで借りられるかを確認しておきましょう。土地選びの流れは土地探しの進め方も参考にしてください。
すでに土地がある人
土地代の支払いは不要ですが、契約金・着工金・中間金は、自己資金か、つなぎ融資・分割融資で用意することになります。手元の資金で足りるかを、契約前に計算します。
自己資金が少ない人
契約金は自己資金で払う必要があるとされているため、まず「契約時にいくら現金が必要か」を確認します。そのうえで、着工金・中間金を、つなぎ融資や分割融資でまかなえるか、金融機関に相談します。借りられる額だけで決めず、返済の負担を考えた予算にしましょう(注文住宅の予算の決め方)。
親から資金援助を受ける人
援助を受ける時期が、支払いのタイミングに間に合うかを確認します。贈与税の非課税の枠や条件は、住宅取得等資金の贈与税の非課税で整理しています。
支払い条件を会社に相談したい人
支払いの割合や時期は、会社によって異なるとされています。希望がある場合は、契約前の段階で相談しましょう。契約後の変更は難しい場合があるため、書面に残る形で確認することが大切です。契約書の確認点は、住宅会社と契約する前に確認したい書類とチェックポイントにまとめています。
契約前に確認したいこと
- 契約金、着工金、中間金、最終金の、金額と支払い日
- 支払いの方法(現金、振り込み、ローンの実行)
- 分割融資やつなぎ融資が、使える金融機関かどうか
- 工事が遅れたとき、支払い時期がどうなるか
よくある質問
Q1. 契約金はローンで払えますか?
アットホームの解説では、契約金は自己資金で支払うとされています。契約前に、手元の現金がいくら必要かを計算しておきましょう。
Q2. 中間金や着工金は、必ず3分の1ずつですか?
そうとは限りません。表の割合は、アットホームが紹介する一般的な目安で、会社によって異なります。契約書の「支払い条件」で、割合と時期を確認してください。
Q3. 住宅ローンの融資は、いつ実行されますか?
金融機関やローンの種類によって異なります。【フラット35】では、竣工現場検査に合格し、適合証明書を提出した後に、資金を受け取る流れです。分割融資に対応している金融機関もあれば、そうでない金融機関もあるため、検討中の金融機関に確認してください。
Q4. つなぎ融資と分割融資は、どちらを選ぶべきですか?
どちらが向いているかは、金融機関の対応と、自己資金の状況で変わります。仕組みの違いはつなぎ融資と分割融資の違いで詳しく書いています。
Q5. 工事が遅れたら、支払いはどうなりますか?
契約書の内容によります。工事が遅れた場合の支払い時期や、遅れによる費用の扱いは、契約前に書面で確認してください。契約書の確認点は住宅会社と契約する前に確認したい書類とチェックポイントも参考にしてください。
Q6. 諸費用は、どのくらい見ておけばよいですか?
三菱UFJ銀行は、新築物件(不動産会社から買う新築)の目安を3〜6%としていますが、注文住宅の場合の目安は、この記事では示せません。会社に、諸費用の見積もりを出してもらいましょう(見積もりに入っていない費用とは?)。
資金計画のチェックリスト
- ☐ 契約金・着工金・中間金・最終金の、金額と支払い日を確認した
- ☐ 契約時に必要な現金(自己資金)の額を、計算した
- ☐ 土地代の支払い時期と、必要な金額を確認した
- ☐ 検討中の金融機関が、つなぎ融資・分割融資に対応しているか確認した
- ☐ 住宅ローンの資金を受け取る時期を、金融機関に確認した
- ☐ 諸費用の項目と、支払う時期を確認した
- ☐ 工事が遅れたときの、支払いの扱いを確認した
- ☐ 親からの援助がある場合、受け取る時期を確認した
複数の会社で、支払い条件も比べる
支払い条件は、会社によって違うことがあります。金額だけでなく、支払い条件も含めて比べると、資金計画が立てやすくなります。
無料で、複数社の間取りプランと見積もりを取り寄せられるサービスもあります。たとえば「タウンライフ家づくり」です。請求した会社から連絡が来ることがあるので、その点を知ったうえで使いましょう。
まとめ
- 注文住宅の支払いは、土地、契約金、着工金、中間金、最終金の順に分かれることが多い
- 契約金は自己資金で払う必要がある
- 完成前の支払いには、分割融資やつなぎ融資がある
- 契約前に、支払い条件を必ず確認する
次の一歩
- 検討中の会社の、支払い条件(金額・割合・時期)を、書面で確認する
- 金融機関に、資金を受け取る時期と、つなぎ融資・分割融資への対応を確認する
- 契約時に必要な自己資金を計算し、予算を見直す(注文住宅の予算の決め方)
- 仕組みの違いを確認する(つなぎ融資と分割融資の違い)
出典
確認日はすべて 2026-10-21 です。
- アットホーム「分割融資とつなぎ融資」 https://www.athome.co.jp/contents/custom/build-cost/installment-financing/
- 三菱UFJ銀行「住宅ローン借入時の諸費用はいくら?」 https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/column/020/index.html
- 住宅金融支援機構【フラット35】「融資手続・必要書類」 https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/flow_kensetsu.html
- 住宅金融支援機構【フラット35】「住宅ローンで考えること を知ろう」(2026年4月現在) https://www.flat35.com/files/topics/6167_ext_99_1.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm
制度や商品内容は変わることがあります。契約前に、各金融機関・住宅会社の最新の案内を確認してください。


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