結論:予算は「毎月いくら払えるか」から逆算する
家づくりの予算でいちばん多い失敗は、「銀行がこれだけ貸してくれるなら大丈夫」と考えてしまうことです。
借りられる額と、無理なく返していける額は、同じではありません。
予算は次の順番で考えるのがおすすめです。
- 毎月、無理なく払える住居費を決める
- そこから借入額の目安を出す
- 自己資金(頭金)と合わせて、総予算を決める
- 総予算から、建物以外にかかるお金を引いて、建物にかけられる額を出す
ステップ1:毎月払える住居費を決める
今の家賃や生活費をもとに、「これなら続けられる」という毎月の金額を決めます。
このとき、次のような将来の出費も頭に入れておきましょう。
- 子どもの教育費
- 車の買い替え
- 家のメンテナンス費(外壁や設備の交換など)
- 固定資産税
住宅ローンの返済だけでなく、家を持つと毎年かかるお金があることを忘れないのがポイントです。
ステップ2:借入額の目安を出す
毎月の返済額が決まれば、金利と返済期間から借入額の目安が出せます。
住宅金融支援機構や金融機関の返済シミュレーションを使うと簡単です(例:住宅金融支援機構「住宅ローンシミュレーション」)。
よく「年収の何倍まで」という目安が語られますが、家族構成や今後の支出によって適切な額は大きく変わります。
参考までに、住宅金融支援機構の調査(2025年度【フラット35】利用者)では、注文住宅の平均所要資金は4,262万円・平均世帯年収は719万円、土地付注文住宅は5,313万円・742万円でした。単純に割ると、所要資金は世帯年収のおよそ5.9倍と7.2倍です(借入額ではなく、自己資金も含めた所要資金で計算)。
これは「みんなの平均」であって、「その額まで借りても大丈夫」という意味ではありません。目安はあくまで参考にして、自分たちの毎月の支出から考えましょう。
ステップ3:自己資金と合わせて総予算を決める
自己資金は、全部を頭金に入れないことも大切です。
- 引っ越しや家具・家電の費用
- 病気や失業などに備える生活費の貯え
これらを残したうえで、頭金に回せる額を決めましょう。
ステップ4:建物にかけられる額を出す
家づくりのお金は、大きく次の4つに分けると整理しやすくなります。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 土地代 | 土地の購入費(すでに土地がある場合は不要) |
| 建物代 | 本体工事費、付帯工事費 |
| 諸費用 | 登記費用、ローンの手数料、火災保険、各種税金など |
| 住まい始めの費用 | 外構、カーテン、照明、家具、引っ越し |
広告で目にする「本体価格」は、このうち建物代の一部にすぎません。
諸費用の目安について、三菱UFJ銀行は、新築物件で物件価格の3〜6%程度と解説しています(同行の解説の「新築物件」は建売・分譲の購入を想定。注文住宅では費用の種類や幅が変わることがあります)。
たとえば、この割合を物件価格3,000万円に当てはめると90万〜180万円、4,000万円なら120万〜240万円になります(単純な計算例で、実際の費用ではありません)。
総額から土地代・諸費用・住まい始めの費用を先に確保して、残りを建物にかけられる額と考えます。
見積もりの「本体価格」だけを見ていると、あとから費用が増えて予算オーバーになりがちです。
建物以外にかかるお金は、こちらの記事でまとめています。
→ 関連記事:見積もりに入っていない費用とは?注文住宅で本体価格以外にかかるお金
ステップ5:予備費を残しておく
打ち合わせの途中で、仕様の変更や追加が出ることはよくあります。予算を上限いっぱいで組むと、追加が出たときに対応できません。最初から予備費を残しておきましょう。
また注文住宅は、住宅ローンが実行される前に、契約金や着工金などの支払いが発生することがあります。支払いの時期と割合は、契約前に必ず確認してください。
→ 関連記事:注文住宅の支払いはいつ、いくら?契約金・着工金・中間金・最終金の流れ/つなぎ融資と分割融資の違い【注文住宅の資金計画で知っておきたいこと】
予算を決めるワークシート
家族で次の表を埋めてみると、総予算と建物にかけられる額が見えてきます。
| 項目 | 記入 | メモ |
|---|---|---|
| ① 毎月無理なく払える住居費 | 万円 | 教育費・車・メンテナンス費・固定資産税も考えて |
| ② ①から出した借入額の目安 | 万円 | 返済シミュレーションで試算 |
| ③ 頭金に回せる自己資金 | 万円 | 生活の貯え・引っ越し費用は別に残す |
| ④ 総予算(②+③) | 万円 | |
| ⑤ 土地代(土地がない場合) | 万円 | |
| ⑥ 諸費用・住まい始めの費用 | 万円 | 資金計画で住宅会社に出してもらう |
| ⑦ 予備費 | 万円 | 打ち合わせでの追加に備える |
| ⑧ 建物にかけられる額(④−⑤−⑥−⑦) | 万円 |
ケース別の考え方
| 状況 | 予算を考えるときのポイント |
|---|---|
| 子どもが小さい・これから生まれる | 教育費がかかる時期の家計を想定して、毎月の返済額に余裕を持たせる |
| 共働き | 2人の収入を合わせて借りる場合、どちらかの収入が減ったときも払えるかを考える |
| 土地を買う | 土地代と建物代のバランスを先に決める(土地にお金を使いすぎない) |
| 親の土地に建てる | 土地代がかからない分、建物や外構、地盤改良などの費用を確認する |
予算オーバーしやすい人の共通点
家づくりの現場で見ていると、予算オーバーには共通点があります。
- 最初に「総額」ではなく「坪単価」や「本体価格」で考えていた
- 打ち合わせのたびに、少しずつオプションを追加した
- 1社の見積もりしか見ていなかったので、高いのか安いのか判断できなかった
「資金計画」は住宅会社に作ってもらうのが早い
予算の考え方が分かったら、実際の数字は住宅会社に資金計画として出してもらうのが早くて正確です。
1社だけだと比べられないので、複数社に同じ条件で出してもらうのがおすすめです。
- 会社によって、見積もりに含める範囲が違う
- 同じ予算でも、提案される間取りや仕様が違う
- 比べると「この会社は諸費用まで入れている」などの差が見える
よくある質問
Q. 年収の何倍までなら借りても大丈夫?
A. 一律の正解はありません。同じ年収でも、家族構成や教育費、車の有無で無理なく払える額は変わります。「毎月いくら払えるか」から逆算するのがおすすめです。
Q. 頭金はどれくらい必要?
A. 頭金なしで借りられる住宅ローンもありますが、借入額が増えるぶん、毎月の返済や利息も増えます。生活の貯えを残したうえで、出せる範囲で考えましょう。
→ 関連記事:頭金なしで家は建てられる?メリット・注意点と、向いている人・向いていない人
Q. 予算はいつ決めればいい?
A. 住宅会社を比べ始める前に、ざっくりでも上限を決めておくのがおすすめです。上限があると、提案を冷静に比べられます。
Q. 金利はどう考えればいい?
A. 金利の低さだけでなく、「金利が上がっても払い続けられるか」で考えましょう。
→ 関連記事:住宅ローンの基本
まとめ
- 予算は「借りられる額」ではなく「毎月返せる額」から逆算する
- 自己資金は全部を頭金に入れず、生活の貯えを残す
- 土地・建物・諸費用・住まい始めの費用の「総額」で考え、予備費も残す
- 複数社の資金計画を比べて判断する
出典(2026年10月21日確認)
- 住宅金融支援機構「住宅ローンシミュレーション」https://www.jhf.go.jp/simulation_loan/
- 住宅金融支援機構「2025年度【フラット35】利用者調査結果」(2026年7月24日公表)https://www.jhf.go.jp/about/research/loan/flat35/2025.html
- 三菱UFJ銀行「住宅ローン借入時の諸費用はいくら?」(2026年6月10日更新、2026年10月21日確認)https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/column/020/index.html


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