家づくりの打ち合わせで「耐震等級3が取れます」「うちは等級1相当です」といった言葉が出てきます。数字が大きいほうがよさそうだとは感じても、何がどう違うのか、自分の家にどこまで必要なのかは判断しにくいものです。
この記事では、国土交通省が定める住宅性能表示制度の資料をもとに、耐震等級の意味と、選ぶときの判断軸を整理します。
結論:等級は「想定する地震力の何倍に耐えるか」の目安。選ぶ前に、何を確認するかを決める
耐震等級は、住宅性能表示制度で「構造の安定」に関する項目として、等級1〜3の3段階で表示されます。数字が大きいほど、想定する地震力に対する強さが大きい、という見方になります。
等級1は、建築基準法施行令が定める地震力を基準(1.0倍)とした水準です。等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の力に対する強さが基準になっています。
ただし、等級の数字だけで家の安全が決まるわけではありません。「どの項目の等級か」「評価書があるのか、設計上の目安なのか」を確認することが、比較のスタートになります。
出典:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」(令和7年12月1日施行版)
耐震等級は2種類ある:倒壊等防止と損傷防止
住宅性能表示制度の耐震等級には、次の2つがあります。
| 項目 | 見ているもの | 想定する地震 |
|---|---|---|
| 倒壊等防止 | 倒壊、崩壊等のしにくさ | 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震 |
| 損傷防止 | 大規模な修復工事が必要になるような著しい損傷の受けにくさ | 稀に(数十年に一度程度)発生する地震 |
どちらも等級は3〜1で表示され、基準となる地震力に対する倍率は、等級1が1.0倍、等級2が1.25倍、等級3が1.5倍です。
「耐震等級3」とだけ言われたとき、倒壊等防止のことなのか、損傷防止も含むのかは、会社に確認したいところです。
出典:国土交通省「日本住宅性能表示基準」ほか上記資料
「建築基準法と同じ」とはどういうことか
等級1は、建築基準法施行令第88条が定める地震力を基準にした水準です。制度ガイドでは、等級1は建築基準法施行令に定める地震力(数百年に一度程度の地震による力)に対して倒壊・崩壊等しない程度、と説明されています。等級2・3は、それを上回る水準を示す等級です。
つまり、等級1は「最低ラインが評価されている」状態で、「等級1だから危ない」と読むものではありません。一方で、等級2・3は、より大きな力を想定して設計・評価されていることを示します。
等級を選ぶときの判断軸
数字の大小のほかに、次の軸で考えると整理しやすくなります。
- 評価書があるか:住宅性能表示制度では、第三者の評価機関が性能を評価します。「等級3相当」という説明と、評価書付きの「等級3」は別のものです。
- 費用と間取りへの影響:等級を上げた場合に、金額や間取りにどんな影響が出るかは、プランごとに異なります。会社に、見積りと図面で確認してください。
- 土地との組み合わせ:地盤の状況も建物の安全に関わります。地盤については地盤調査と地盤改良の記事を参考にしてください。
- 評価の限界:評価書が示すのは、評価を受けた時点の性能です。住み始めてからの点検・維持も大切です。
評価書(住宅性能評価)の使い方
住宅性能表示制度の評価は、登録住宅性能評価機関が、評価方法基準に従って行います。評価を受けるタイミング(設計・施工・完成のどの段階か)や、評価にかかる費用は、会社や評価機関によって異なる可能性があるため、ここでは記載しません。住宅会社に確認してください。
評価書を取るかどうかは、次の観点で住宅会社と相談するとよいでしょう。
- 取得にかかる費用と、手続きの手間はどのくらいか
- 評価を受けた場合に、ほかの手続きや制度で使えるものはあるか(補助金や減税の要件は補助金・減税の記事を参照し、最新の条件は各制度の窓口で確認)
契約前に確認したい5つのこと
- 提案されている耐震等級は、倒壊等防止か、損傷防止か、両方か
- 評価書を取得する予定か、「相当」という設計上の目安か
- 等級を上げた場合、見積りと間取りはどう変わるか(書面で比較できるか)
- 耐震性をどのような方法で確認するのか(会社の説明を書面でもらえるか)
- 引き渡し後の点検やメンテナンスの案内はあるか
会社選びのときに
耐震性の説明は、会社によって言葉づかいが異なります。1社の説明だけで判断せず、複数社に同じ条件で質問して比べてみてください。会社の選び方の全体像は住宅会社の選び方にまとめています。性能を上げた分の費用は、予算全体の中でどう考えるか(予算の決め方)とセットで検討すると、あとで慌てにくくなります。
まとめ
- 耐震等級は1〜3の3段階。等級1は建築基準法施行令の地震力を基準とし、等級2は1.25倍、等級3は1.5倍を基準にしている
- 「倒壊等防止」と「損傷防止」の2種類があるので、どちらの話かを確認する
- 「評価書付き」か「相当」かで意味が変わる。評価は評価時点の性能で、経年変化は含まれない
- 費用や間取りへの影響はプランごとに違うので、見積りと図面で確認する
次の一歩
いま話している住宅会社に、「耐震等級は、倒壊等防止と損傷防止のどちらで、評価書は取れますか」と質問し、回答を書面でもらいましょう。
出典(確認日 2026-10-21)
- 国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」(令和7年12月1日施行版) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001970908.pdf
- 国土交通省「日本住宅性能表示基準」(平成13年8月14日国土交通省告示第1346号、令和4年11月7日改正) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001520692.pdf
- 国土交通省「住宅性能表示制度」概要 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/gaiyou/g03.pdf
※制度や基準は改正されることがあります。最新の内容は国土交通省や住宅会社でご確認ください。


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