注文住宅では、家が完成する前に、土地代や工事費の一部を払う場面があります。住宅ローンの融資が引き渡し時に実行される場合、その前の支払いをどうするかが課題になります。
そこで出てくるのが、「分割融資」と「つなぎ融資」です。この記事では、2つの違いと、選ぶときの注意点を整理します。
結論:違いは「ローンの種類」と「金利・費用」
アットホームの解説をもとにまとめると、次のとおりです。
| 分割融資 | つなぎ融資 | |
|---|---|---|
| 内容 | 1つの住宅ローンを、複数回に分けて借りる | 住宅ローンとは別の、短期のローン |
| 担保(抵当権) | 必要 | 不要(無担保) |
| 期間 | 住宅ローンの返済期間 | 原則1年以内 |
| 金利の傾向 | 住宅ローンの金利 | 住宅ローンより高い傾向(2〜4%程度と紹介) |
| 返済の開始 | 最初の融資実行の翌月から | 一般に、住宅ローンの実行時にまとめて返済(条件は金融機関ごとに異なるため、事前に確認) |
金利は時期によって変わります。最新の金利は、各金融機関の公式サイトで確認してください。
分割融資の注意点
- 融資のたびに、抵当権設定の手続きが必要で、司法書士の報酬や登録免許税などの費用が重なります
- 融資の実行ごとに、手数料がかかる場合があります
- 最初の融資実行の翌月から返済が始まるため、家に住む前から返済が始まります
- 金利が実行ごとに変わる場合と、最初の実行時の金利で固定される場合があり、金融機関によって異なります
- すべての金融機関で使えるわけではなく、分割できる回数も異なります
- 建物が未完成の段階で融資が実行されるため、登録免許税の軽減措置を受けられない可能性があります
つなぎ融資の注意点
- 金利が住宅ローンより高い傾向があります
- 住宅ローン控除の要件の一つは、10年以上にわたり分割して返済する借入金であることです(国税庁タックスアンサーNo.1211-1、2026年10月24日確認)。短期のつなぎ融資が対象になるかは、国税庁のNo.1225や税務署で確認してください
- 一般に、住宅ローンが実行されたときにまとめて返済するため、住宅ローンの手続きが遅れると、返済に困る場合があります。実行時期は金融機関に確認してください
どちらを選ぶか
選ぶ前に、次の3つを確認しましょう。
- 使いたい金融機関が、分割融資やつなぎ融資に対応しているか
- 借りる回数や期間によって、総費用がどのくらい違うか
- 建築会社が、支払いのタイミングをどう設定しているか
費用は、融資の回数と期間で変わります。金融機関の窓口で、総額の試算をしてもらうと安心です。
支払いのタイミングについては、注文住宅の支払いはいつ、いくら?で詳しく書いています。
ケース別の考え方
条件によって、確認すべき点は変わります。
- 土地を先に買い、あとから建てる人:土地代の支払いが、建物のローン実行より前になります。土地代の支払いに使える融資の種類や、土地と建物でローンを分けるかどうかは、金融機関によって対応が異なります。土地の契約前に、金融機関と建築会社の両方へ「支払いの順番」を伝えて相談してください。
- 建築費を着工時・中間・完成時などに分けて支払う契約の人:支払いの回数と金額で、必要になる資金のつなぎ方が決まります。まず建築会社に支払いスケジュールを書面でもらいます(考え方は注文住宅の支払いはいつ、いくら?)。
- 【フラット35】を考えている人:住宅金融支援機構の「ご利用条件」では、借入金利は申込時ではなく資金を受け取る時点の金利になり、資金の受取日は取扱金融機関が定めるとされています。融資の実行時期がずれると、適用される金利も変わりうる点を、金融機関に確認しておきましょう。
- 住宅ローン控除を受けたい人:次の項で、確認できた条件をまとめます。つなぎ融資を使う場合は、特に税務署への確認が欠かせません。
住宅ローン控除との関係で確認できること
国税庁のタックスアンサーで確認できた内容は、次のとおりです(確認日 2026-10-21)。
- 対象になる借入金は、償還期間が10年以上の割賦償還の方法で返済されるものです(No.1225)。
- 「割賦償還」とは、返済期日が規則的に来て、各回の返済額が当初から確定している方法とされています。期間が10年以上かどうかは、最初の返済から返済終了までで判断されます(No.1225)。
- 利息に対応する部分は、控除の対象外です(No.1225)。
- 建物の新築と一緒に取得する敷地の借入金は対象に含まれます。ただし、その年の12月31日時点で建物について対象となる借入金がない場合、敷地の借入金はなかったものとみなされます(No.1225)。
- 住宅の完成から6か月以内に入居し、控除を受ける各年の12月31日まで住み続けることが要件の一つです(No.1211-1、令和4年以降に居住した場合)。
No.1225には「つなぎ融資」という言葉は出てきません。そのため、一括返済を前提とした短期のつなぎ融資がこの要件を満たすかどうかは、条文の読み取りとしては難しそうに見えても、個別の判断はここでは断定できません。具体的な借入について、税務署や税務の専門家に確認してください。
よくある質問(Q&A)
Q. 分割融資とつなぎ融資は、併用できますか?
A. 併用できるかどうか、また選べる方式は、金融機関によって異なります。使いたい方式を、申込み前に金融機関へ伝えて確認してください。
Q. 住宅ローンの審査は、いつ受けますか?
A. 一般には、建築の契約や着工の前に審査を済ませておく流れが多いです。事前審査と本審査の違いは住宅ローンの事前審査はいつ受ける?をご覧ください。
Q. つなぎ融資の利息は、住宅ローン控除の対象ですか?
A. 国税庁のNo.1225では、利息に対応する部分は対象外とされています。つなぎ融資そのものの扱いは、税務署に確認してください。
Q. 入居が遅れると、住宅ローン控除に影響しますか?
A. 国税庁No.1211-1では、完成から6か月以内の入居が要件の一つです。引き渡しや入居の時期は、建築会社と工程を共有しておきましょう。
契約前のチェックリスト
- ☐ 土地代・着手金・中間金・最終金の、金額と支払日が書面で分かる
- ☐ 住宅ローンの融資実行日は、いつの予定か(金融機関に確認)
- ☐ 実行日までの支払いに、分割融資とつなぎ融資のどちらが使えるか
- ☐ 抵当権設定の回数と、司法書士報酬・登録免許税などの費用の見込み
- ☐ つなぎ融資の金利・手数料・返済のタイミング
- ☐ 総額の試算を、金融機関から書面でもらった
- ☐ 住宅ローン控除への影響を、税務署または専門家に確認した
まとめ
- 分割融資は、1つの住宅ローンを複数回に分けて借りる方式
- つなぎ融資は、住宅ローンとは別の短期ローンで、金利は高めの傾向
- どちらも、手数料や税金などの費用を含めて比べる
- 制度や金利は変わるので、金融機関で最新の条件を確認する
- 住宅ローン控除への影響は、国税庁の案内を確認し、個別の借入は税務署に相談する
次の一歩
- 建築会社から、支払いのスケジュールを書面でもらう
- 金融機関に、分割融資・つなぎ融資の可否と、融資実行日の見込みを聞く
- 無理のない借入額は、家づくりの予算の考え方で全体の枠から考える
- ローンの種類の全体像は、住宅ローンの基本で整理する
出典
確認日はすべて 2026-10-21 です。
- アットホーム「分割融資とつなぎ融資」 https://www.athome.co.jp/contents/custom/build-cost/installment-financing/
- 国税庁タックスアンサー No.1225「住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1225.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
- 住宅金融支援機構【フラット35】「ご利用条件」 https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/conditions/index.html
制度や金利は変わることがあります。契約前に、各金融機関・税務署の最新の案内を確認してください。


コメント